先端的バイオ創薬等基盤技術開発事業 Science and Technology Platform Program for Advanced Biological Medicine

採択課題

先端的医療技術に対する全臓器・全身スケールでの評価技術基盤の開発

<研究開発代表者> 上田 泰己

東京大学大学院医学系研究科システムズ薬理学教室

上田 泰己

本課題では、全身全細胞解析技術「CUBIC」をベースに、「先端的医療技術に対する全臓器・全身スケールでの医薬品等の局在および生体反応の評価技術基盤」を構築することを目的とする。先端的医療技術の開発や応用では、治療効果の正確な評価や品質管理の観点から、導入された医薬品や移植細胞等の体内局在および治療に対する生体反応を包括的かつ高い解像度で把握する技術基盤が必要である。そこで本課題では、このような技術基盤の開発に取り組む。これまでに研究代表者らは、生体組織を高度に透明化して定量解析に資する全組織・全身の1細胞解像度イメージングデータを取得し、多数のサンプル間で定量比較を行う世界最先端のイメージング技術「CUBIC」の開発に成功している(Susaki, Cell 2014他)。また研究代表者らはCUBIC個別技術の開発と、それらを融合した全細胞解析パイプラインの運用により多数のマウス全脳の定量的神経活動比較解析や全脳全細胞解析を成功させている(Tatsuki, Neuron 2016; Murakami Nat Neurosci. 2018; Matsumoto Nat Protocols 2019)。さらに、研究代表者は過去の「革新的バイオ事業」において、CUBIC技術を応用したバイオ医薬品やその生体反応の全身・全臓器スケールでの可視化に取り組み(Kubota, Cell Rep. 2017; Tainaka, Cell Rep. 2018他)、企業への技術導出・共同研究契約締結等の成果を得ている。しかし、3D染色技術、組織透明化技術のさらなる高度化、1細胞解像度アトラスの拡張等が課題として残り、これら要素技術のさらなる開発と組み合わせによる技術パッケージの確立が急務であると考えられた。そこで、本課題では組織3次元染色技術の高速化・高度化、透明化技術のさらなる高速化・高度化、マウス脳以外の臓器の1細胞解像度アトラス構築、要素技術のパッケージ化等を主要な研究開発項目とし、企業等への技術導出を進める。本研究開発の成果は世界最先端の細胞ラベリング・透明化・1細胞解像度3次元観察および解析基盤を提供し、本事業がめざす先端的医療技術開発に資する貢献とともに、複数の知財確保と技術導出の成果が期待できる。

図1 図1: 体制図
研究代表者・上田泰己教授(東京大学大学院医学系研究科)のもとで、研究課題「先端的医療技術に対する全臓器・全身スケールでの評価技術基盤の開発」を推進する。分担研究者・山田陸裕上級研究員(理化学研究所生命機能科学研究センター)は臓器1細胞アトラスの作成とアプリケーション研究を担当する。研究チームには最先端のライトシート顕微鏡や透明化・染色技術が導入済みである。
図2 図2: CUBIC技術のアプリケーション例1:全脳神経活動解析
神経活動ラベリングが可能なトランスジェニックマウス(Arc-dVenus Tg)を用いて、中枢作用薬(MK-801、NMDA受容体阻害剤)の投与・非投与群の神経活動状態を全脳イメージングした。取得した画像データから解剖学的領域に応じた神経活動解析を行い、特定のレスポンスを示す神経細胞群を同定することに成功した。Tatsuki et al. Neuron (2016) 90:70-85より改変。
図3 図3: CUBIC技術のアプリケーション例2:全身がん細胞転移解析
癌細胞移植マウスモデルを用いて、蛍光タンパク質(mCherry)でラベルされた癌細胞の分布をライトシート顕微鏡を用いた全身イメージングにより解析した。肺などに存在する微小癌転移を漏らさず検出することに成功し、その後のコンフォーカル顕微鏡を用いた高解像度イメージングにより詳細な定量解析が可能となった。Kubota et al. Cell Reports (2017) 20: 236-250より改変。

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