先端的バイオ創薬等基盤技術開発事業 Science and Technology Platform Program for Advanced Biological Medicine

採択課題

デリバリーと安全性を融合した新世代核酸医薬プラットフォームの構築

<研究開発代表者> 小比賀 聡

大阪大学大学院薬学研究科

小比賀 聡

 疾病の原因となる遺伝子の発現を制御し、その治療や予防を実現しようとする核酸医薬に近年大きな注目が集まっています。核酸医薬は、標的とする遺伝子の発現を配列特異的に制御可能であるという特徴を有しています。そのため、有効な治療法が見出されていない多くの難治性疾患に対する新たな治療法につながることが期待されています。現在、国内外で合わせて140件を超える核酸医薬の臨床試験が進められていますが、臨床応用の最大化を図るためには解決すべき課題も残されており、特に「デリバリー技術の整備」と「安全性の確保」が喫緊の課題として再認識されています。
 本研究では、大阪大、名古屋大、医薬健栄研、国立衛研の強固な連携のもと、我々がこれまでに開発してきた2つの要素技術:①有効性を高める修飾核酸技術、②安全性を高める修飾核酸技術と、本事業において確立する2つの要素技術:③標的組織を拡大するコンジュゲート技術、④安全性を担保する毒性低減技術・評価技術を組み合わせることで、「ヒトでの安全性を最大限確保し、且つ、肝臓以外の組織で有効性を示すアンチセンス核酸」を創製するためのプラットフォーム技術を構築します。
 我々は、独自に保有する人工核酸技術を駆使し、核酸医薬の動態制御並びに安全性確保を目指したリガンド-核酸医薬(アンチセンス核酸)コンジュゲート体の設計・合成を実施します。さらに、各臓器由来の細胞パネルに対するin vitro活性評価やin vivoでの活性評価、薬物動態評価を進め、核酸医薬を必要とする臓器に送達させるためのリガンドを探索します。これらの検討により、本研究開発期間内に複数の有望なリガンド分子を見出しin vivoでの有効性を実証していきます。また、pre-mRNAデータベースと独自に取得・蓄積したアレイデータを駆使してオフターゲット効果を誘導する配列条件を解明し、オフターゲット効果を低減するin silico技術を開発します。さらに、ヒト肝キメラマウスを用いて、その有用性を検証します。最終的に、本プラットフォーム技術により生み出された肝臓以外の臓器にて有効なアンチセンス核酸に関しては、適切なモデル動物等を用いてその効果・安全性を評価します。
 本研究開発により、安全性並びに標的臓器の拡大を図ることができれば、核酸医薬の応用範囲は大きく広がり、これまで治療法が確立していなかった数多くの難治性疾患の治療に新たな道を拓くことが期待されます。

図1 図1: 本研究開発の目的と実施体制
図2 図2: 核酸医薬の作用と副作用
図3 図3: 本研究開発に関する要素技術群
図4 図4: 研究計画の概要
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