先端的バイオ創薬等基盤技術開発事業 Science and Technology Platform Program for Advanced Biological Medicine

採択課題

生体組織イメージングに基づいたバイオ医薬品の新規評価基盤技術の開発

<研究開発代表者> 石井 優

医薬基盤・健康・栄養研究所 招へいプロジェクトリーダー(大阪大学大学院医学系研究科 教授)

石井 優

 近年の抗体製剤などのバイオ医薬品の登場により、がんや免疫疾患に対する薬物治療は大きく様変わりし、臨床現場に劇的な変化が訪れている。現在もなお多くの治験・臨床研究が進められる一方で、これらの数ある薬物が具体的にどのような薬理作用を発揮しているか、特に生きた組織・細胞レベルでの作用機序についての研究は置き去りにされている傾向にある。例えば、多くの細胞・分子が複雑に絡み合う免疫炎症疾患で、何故単一のサイトカインを抑制するだけでここまで奏功するかは実際のところよく分かっていない。そればかりか、これらの薬剤が具体的にどの組織・細胞をターゲットとして、どういった分子作用機序を担うのかなどの、実際の“in vivoでの薬物効果”に関する解析はほとんどなされていないのが現状である。
 本申請者は近年、組織深部を高解像度かつ低侵襲で観察することができる2光子励起顕微鏡を駆使して、体内で動く免疫細胞を生きたままで観察する研究技術「生体イメージング」を独自に確立してきた。特に、従来困難であるとされてきた、硬い骨組織内・骨髄腔を、傷つけることなく「非破壊検査」することを世界に先駆けて立ち上げて、炎症性骨破壊の実体を解明した。生体イメージングは、種々の分子を標的として開発された薬剤が「実際にどのように効いているのか」、その薬効を細胞・組織レベルで実体的に解析する画期的な方法論である。本研究では、種々の薬剤のin vivo薬理作用を検証することで、既存薬剤の機能的差別化や新たな創薬開発を行う。この研究成果により、様々なバイオ医薬品の実際の薬物作用を解析することができ、増加の一途を辿る最新のバイオ医薬品のin vivo薬理作用に基づいた機能差別化が可能となる他、新規創薬スクリーニング系として確立することで、従来とは異なるレベルでの創薬開発が実現することが強く期待される。

図1 図1: 研究室(生体イメージング解析室)の様子
図2 図2: 生体イメージングによるバイオ医薬品の「生きた細胞・組織・臓器レベル」での評価。様々な分子を標的としたバイオ医薬品の「細胞・組織・臓器」レベルでのin vivoでの薬理作用を生体イメージング系により解析するシステムを構築する。
図3 図3: 生体イメージングによるバイオ医薬品のin vivo薬効評価系の実例。炎症性骨破壊モデルの生体イメージング下において、関節リウマチ治療のバイオ医薬品3剤(抗TNFα抗体・抗IL-6R抗体・CTLA4-Ig)の効果を検証した。A: vehicle(非炎症時),B: vehicle(炎症時),C: 抗IL-6R抗体投与,D: 抗TNFα抗体投与,E: CTLA4-Ig投与.F: 薬効の定量化方法,G: 各薬剤のin vivo薬効評価.結果としては、抗TNFα抗体や抗IL-6R抗体は成熟破骨細胞の骨吸収を抑制するが、CTLA4-Igは成熟破骨細胞には作用しないことが明らかとなった。(Matsuura et al., Ann Rheum Dis, 2018より抜粋)

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